【守人登場】

守人「迎えにきた」
薫(な、なに言ってるの、この人)

淡々と告げる男は、あたかも当然であるかのように繰り返す。
着ているものも、身にまっている雰囲気も、明かに一般人のそれじゃない。
とっさに連の腕を引いて逃げようかと考えたけど、深い漆黒の瞳が眇められた瞬間、脚が凍りついたみたいに動かなくなった。
恐いとかじゃなくて、もっと違う何か……説明のできない感情が込みあげてくる。

薫(逃げなきゃ……、でも……)

全力で逃げだしたい。同時に、懐かしくて駆け寄りたくもなるような……、あべこべな衝動が私を混乱させた。

連「守人様、今の世羅様は前世の記憶を持っていません。ここは一旦引」
守人「――お前の意見など聞いていない。私は、そこにいる私の花嫁を迎えに来たんだ」