【キス】

「方法がちょっと特殊だから、一応聞くね。君を助けてもいいかな?」
「いいも、なにも……、ぐっ!」
体内で荒れ狂う何かのせいで、もう返事どころか息もできない。
壮絶な痛みに身悶える私を見下ろし、不気味なほどに綺麗な男は微笑んだ。
「まあ君の許可がなくても、助けてしまうのだけど」
「っ、たすけて、くれるの……?」
やっとの思いで掠れた声を出す。
男は鷹揚に頷き、壊れ物を扱うような手つきで私を抱きあげた。
「ああ、俺は何度だって君を助ける。たとえ君が、望んでいなくても……」
どこか寂しさも感じさせる吐息まじりの声が、私の唇にかかる。

なんだか、ものすごく距離が近い。
でもこの苦しみを終わらせてくれるのなら、もうなんでも……

(え?)
なんでもいい、と思ったけど――まさか、キスされるとは予想していなかった。